「急性期病院での人間関係に疲れた」、「いつも怒られてばかり」と悩み「看護師辞めたい」と思っている看護師歴1~3年目くらいのナースは多いんじゃないかと思います。
かつてのわたしも、そうでした。
寝れなくても、食べれなくても体を引きずって出勤する日々。でも、限界になって急性期病院を1年半で辞めてしまいました。
そして、今。
回復期リハビリテーション病院に転職して6ヶ月がたち最近は、ちょっとずつやりがいも感じることができるようになってきました。
今回は、「急性期病院が辛すぎる」と悩んでいる看護師さんに向けて「急性期で仕事が辛すぎて病んでいた私が回復期リハビリテーションに転職したら仕事にやりがいを感じ始めたよ」という話をしようと思います。
よかったら、今後の選択の参考にしてください。
新卒で入った急性期病院を1年半で退職し、回復期リハビリテーション病院に転職した
新人看護師だったわたしは新卒で入った急性期の脳外科病棟をわずか1年半で退職しました。理由は、複雑な人間関係、重たい命の責任、急性期のスピード感についていけなかったから。
急性期を辞めた後は、心がボロボロで「そもそも看護師として働くのは辞めよう」と何度も思っていました。
しかし、やっぱり人の人生に寄り添うことができる看護師という仕事を捨てきれず必死に転職活動を行って内定をもらったのが回復期リハビリテーション病院。
回復期リハビリテーション病院なら、脳外科の患者さんが多いから急性期の脳外科病棟で働いていた経験が生かせると思ったし、何より3~6ヶ月という長い時間をかけてじっくりと患者さんに関われるという点に魅力を感じたのです。
「次こそ、看護師として長く働きたい」、「患者さんの心に寄り添える看護師になりたい」そんなわたしの期待に応えてくれるのが回復期リハビリテーション病院だと感じました。面接で回復期リハビリテーション病院への志望理由を聞かれたときにも、上記のように答えました。
だから、1番良いと思っていた回復期リハビリテーション病院の内定が決まったときはものすごくうれしかった。
期待を胸に回復期リハビリテーション病院に転職したけど不安もあった
「患者さんに寄り添いたい」、「リハビリ看護を学びたい」と様々な期待を胸に回復期リハビリテーション病院に転職したけれど、不安もありました。
特に強かった不安は以下の3つです。
・知識・技術・経験が足りないわたしがやっていけるのか?
・また先輩にいじめられないか?
・同期がいない環境で働いていけるのか?
ここから、詳しく話していきましょう。
知識・技術・経験が足りないわたしがやっていけるのか?不安だった
回復期リハビリテーション病院で転職した当初、わたしが最も不安だったのは、看護師歴1年半と知識・技術・経験が足りないわたしが中途採用でやっていけるのか?という不安。
しかし、その不安は杞憂に終わりました。
なぜなら、回復期リハビリテーション病院では、中途採用のわたしにもフォローの先輩ナースがつき、必要な知識や勉強するべき点を教えてくれたからです。
また、技術面に関しては、基本的なものが多く臨床経験1年半のわたしでもほとんど問題無く働くことができました。
血糖測定、経管栄養投与、採血、Ba挿入、導尿。急性期ではできるのが当たり前過ぎて自分の中でできることとしてカウントされていなかった技術が回復期リハビリテーションで役に立ちました。
また、回復期リハビリテーション病院は脳外科の急性期の治療を終えた患者さんが転院してくる場所だから脳外科看護の知識も有効でした。
急性期の知識は、案外回復期リハビリテーション病院でも無駄にならなかった、と感じました。
急性期病院で先輩から技術や知識の未熟さを指摘され自分に自信が無かったわたしだけど回復期リハビリテーション病院ではなんとか働くことができる技術を持っていたようでホッとしました。
先輩看護師にいじめられないか?不安だった
転職して2番目に心配だったのは、恥ずかしながら「先輩看護師にいじめられないか?」というもの。
わたしは、優柔不断でおっとりとした性格のためかキビキビとした急性期病棟の先輩を苛立たせてしまうことが多かったようで、どうやら先輩看護師の標的にされやすい性格のようです。
複数の先輩に、その「オドオドとしていて優柔不断な性格は、看護師に向いていないから直した方が良い」と面と向かって言われたこともありました。だから、回復期リハビリテーションに転職したときも先輩看護師を苛立たせてしまうんじゃないか?また、先輩にいじめられないかと、とても不安でした。
しかし、回復期リハビリテーション病院の看護師は急性期の看護師のように威圧的な人は少なく、どちらかと言えば穏やかな人が多い印象でした。オドオドとしていて弱気なわたしにも優しく接してくれる同僚・先輩が多く、そうした人間関係の穏やかさに囲まれると、急性期で荒んだわたしの心も癒されていくようでした。
同期がいない環境で働いていけるのか?
急性期から回復期リハビリテーション病院に転職して3番目に不安だったのは、同期がいない環境で働いていけるのか?というもの。
急性期では、心も体もボロボロで辛かったけど同期がいました。辛いときは、同期に愚痴をこぼすこともできました。しかし、中途で入職するとなると同期がいなくなる。辛くなっても愚痴をこぼす人がいなくなる。同期がいない環境で、やっていけるのかものすごく不安でした。
しかし、そんなわたしの考えも杞憂でした。
回復期リハビリテーション病院では、30代・40代以上のご家庭のある看護師も多いため、かえって同世代の若手看護師同士の結束が強く、すぐに仲間の輪に入ることができたのです。新卒の病院を辞めたら、同期のような距離感で仲良くなれる人は作れないと思ったけど案外、仲良くなれる人はできるものですね。
プライマリーを受け持ちリハビリ看護の難しさを感じた
回復期リハビリテーション病院に転職して3ヶ月。一通りの業務に慣れて来た頃、初めてプライマリーを受け持つことになりました。
プライマリーとは、機能別ナーシングや、パートナーシップナーシングなどのような看護方式の一つであり、入院〜退院までを1人の看護師が一環して受け持つ看護方式のことです。
回復期リハビリテーション病院では、患者の入院、看護計画の立案・実行・評価、退院支援まで患者にまつわる多くの看護介入をプライマリーの看護師が行います。
プライマリーを受け持つと1人の患者に入院期間の3ヶ月〜6ヶ月かけてじっくり関われるようになります。
一方で担当患者に責任を持った介入を行う必要があり、回復期リハビリテーション初心者のわたしは苦労する場面も少なくありませんでした。
もちろん、苦労した分のやりがいも大きかったけれど。
特にわたしがプライマリーを受け持つようになって「回復期リハビリテーションって難しい」と感じたのは以下の3つです。
・多職種連携
・リハビリ看護
・自分の判断が患者さんのQOLに直結する
多職種連携について
プライマリーを受け持ちようになって、わたしが1番目に「回復期リハビリテーション病院って難しいな」と感じたのは多職種連携です。
急性期においては、医者と看護師間で患者のやりとりが完結することが多く、多職種連携を求められる場面はほとんどありませんでした。
しかし、回復期リハビリテーション病院では患者が自宅へ退院することを目標に1人の患者に対して医者、看護師はもちろん、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、介護士と多くの多職種と関わる必要があります。
看護師は、多職種の連携役として様々な情報をまとめ共有したり、看護職としての視点から多職種へ意見を述べる必要があります。
急性期で働いてきて、多職種とコミュニケーションを取ることに慣れていなかったわたしは、多職種が看護師に求めている情報は何なのか?、リハビリ看護師としての視点や意見の述べ方が分からず混乱する場面もありました。
しかし、先輩に教えてもらいながら自分が多職種の架け橋となり多職種に十分な情報提供や提案ができたときは自分が看護師として存在する意義を感じ、充実感を感じることがありました。
リハビリ看護について
2番目に「回復期リハビリテーション病院って難しいな」と感じたのはリハビリ看護です。
回復期リハビリテーション病院では、急性期では意識を向けられていなかった「患者のADLをアップさせるにはどうするべきなのか?」「患者の強みを生かすにはどうするべきなのか?」という視点が重要視されます。
寝たきりの人をどのようにしたら、起きている時間を増やせるのか? 内服看護師管理の人をどうしたら自己管理に移行できるのか? 患者の退院後の目標に合わせて日勤、夜勤を問わずリハビリの視点を持ち、アセスメントし介入していくのは慣れていないわたしには難しいものでした。
しかし、先輩と相談しながら時間をかけて患者さんのことをアセスメントし介入することで寝たきりの患者さんが元気に歩けるようになることもあり、リハビリ看護の魅力を再認識することもできました。
自分の判断が患者さんのQOLに直結する
3番目に「回復期リハビリテーションって難しいな」と感じたのは自分の判断が患者さんのQOLに直結するということです。
プライマリーを受け持つと、家族と本人と話し合いを進め患者が退院後はどこに行くのかを決める必要があります。
自宅に帰ってもらうのか?、老人保健施設に入所してもらうのか……。
自宅退院と、施設退院では患者さんの今後のQOLは大きく変わります。
そのため、自分が家族に提供する情報によって患者の今後のQOLが大きく変わる点に、回復期リハビリ看護の難しさも感じました。正直、回復期リハビリテーション病院では急性期のように重たい責任を背負わされることはないのではないかと思っていたのです。
しかし、回復期は急性期とは違った患者さんのQOLを大きく変える責任を持つ仕事であると知りプライマリー業務の責任の重たさを改めて痛感しました。
一方で、自分の介入次第では患者さんのQOL向上に大きく関わることができる魅力的な仕事であることも感じました。
少しづつ回復期リハビリテーション病院でのやりがいを感じ始めた
急性期で働いて心を病み「看護師を辞めよう」と思っていたわたしだったが回復期リハビリテーション病院に転職し、プライマリーを受け持ち患者とじっくり関わることで少しづつ回復期リハビリテーション病院でのやりがいを見出せるようになってきました。
脳梗塞を発症し麻痺になり始めは車椅子でしか移動できなかった患者さんが、麻痺側に装具をつけ1人で歩いているのを見ると言いようの無い喜びを感じます。
高次機能障害があり、内服自己管理は難しいと思われている患者さんにお薬カレンダーを用いた薬管理を行い、何度も練習することで内服を自己管理できるようになっている患者さんを見ると心が揺さぶられます。
ADL的に自宅退院は難しいと言われていた患者さんが元気に自宅へ帰って行くのを見ると「介入を頑張って良かった」と自分の仕事に誇りを感じます。
急性期病院の脳外科病棟に勤めて1年半、回復期リハビリテーション病院に勤めて6ヶ月が経ちました。いまでも、わたしは急性期で先輩に怒られたことを思い出しネガティブな気持ちになったり、「自分は看護師向いていないのかも」と悩むことも少なくありません。
しかし、回復期リハビリテーション病棟で悩み患者と関わることで少しづつ「看護師としてのやりがい・働きがい」みたいなものを感じることができているのも事実です。
急性期で苦戦していたわたしだけど、今は、理想だった「患者さんに寄り添える看護師でありたい」という思いの通り働くことができているのではないかと思います。
適材適所。
急性期病院にこだわらなくてもなんとかなる。
急性期病院が辛くて悩んでいる看護師や「患者さんに寄り添いたいのに時間を確保できな
い」と悩んでいる看護師の方は回復期リハビリテーションへの転職を考えてみてもいいんじゃないかと思います。
この記事が、「急性期辛すぎる」と悩んでいる看護師に少しでも役に立つとうれしいです。
以上、最後まで読んでくれたみなさんありがとうございました。