医師や看護師のもと看護業務をおこなう准看護師。
介護施設などでサポートを行うこともできる准看護師は、現在も多くの職場で求められています。
ここでは准看護師と看護師との違い、平均年収、准看護師の将来、就職状況について解説していきます。
准看護師とは?
准看護師とは医師や看護師の指示のもと、看護や診療の補助をおこなう医療従事者です。
看護師は自らの判断により看護を提供できますが、准看護師は自らの判断による看護業務はできません。
准看護師が発足した背景には、第二次世界大戦後の看護師不足があります。
第二次世界大戦の終結後、急激な病院増設により看護師の需要が増えましたが、女子の高校進学率が低く、看護師は増えませんでした。そこで学歴要件を中学校卒業にし、看護師を補助する資格として「准看護師」が発足しました。
現在、准看護師の就業者数は約28.5万人。その数は減少傾向にあります。
一方、看護師の就業者数は約128万人で、数は増加傾向にあります。
人口 10 万人当たりの准看護師数をみると、「熊本県」が 542.7 人と最も多く、次いで「宮崎県」が 540.6 人、「佐賀県」が 529.8 人となっています。一方、「東京都」が 85.9 人と最も少なく、次いで「神奈川県」が 90.4 人、「滋賀県」が 109.9 人となっています。
参考:厚生労働省|令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況
准看護師と看護師との違いは?
准看護師と看護師の違いは、以下の表にあげられます。
准看護師 | 看護師 | |
免許 | 都道府県知事 | 厚生労働大臣の免許 |
入学要件 | 中学校卒業 | 高校卒業 |
教育 | 2年-3年(1890時間) | 3年(3,000時間) |
業務の進め方 | 医師や看護師の指示に沿う | 自らの判断で業務遂行 |
看護師免許は国家資格試験の合格者に「厚生労働大臣」が発行する免許です。
一方、准看護師は、国家資格ではなく「都道府県知事」が発行する免許です。
業務の進め方についても、看護師は専門知識を活かしながら、自らの判断で業務遂行を行うことができますが、准看護師は、医師や看護師の指示なく業務を進めることはできません。
准看護師の仕事内容
仕事内容としては、准看護師と看護師とで大きく変わりはありません。勤務先や配属先によって異なりますが、医師や歯科医師、看護師の指示のもと、バイタルチェック、手術・診療の補助、点滴、食事・排泄・入浴の介助、カルテの記入などをおこないます。
看護計画の立案は准看護師はできません。
准看護師の年収は?
厚生労働省が発表した「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、准看護師の年収は418万1,700円、月給は29万6,200円、賞与は62万7,300円となっています。
准看護師と看護師の年収・月給比較
准看護師 | 看護師 | 介護支援専門員 (ケアマネージャー) | |
年収 | 418万1,700円 | 508万1,300円 | 405万7,900円 |
月給 | 29万6,200円 | 35万1,600円 | 28万4,500円 |
賞与 | 62万7,300円 | 86万2,100円 | 64万3,900円 |
准看護師と看護師では月給で約5.5万円、年収で約90万円の差があります。
もともと基本給が看護師よりも低く設定されていることが多く、また夜勤で働く准看護師の割合が少ないこと、管理職への昇進が難しいことも影響しています。
介護支援専門員(ケアマネージャー)よりは高い額となっています。
准看護師の将来性
もともとは戦後、女子の高校進学が少なかったことから発足した准看護師ですが、現在は高校進学者が多くなっています。現代の看護職では、高齢患者の増加、また医療の高度化・複雑化のため、その場で自律的に判断して行動できる能力が求められています。
このような社会の変化もあって、准看護師の就業者数は年々減少し、准看護師学校養成所数と入学者数も減少、入学者数はここ20年間で、約40%になっています。
とはいえ、近年、高齢者施設や在宅サービスでのニーズもあり、慢性的な看護職員不足を補う存在として准看護師は必要とされています。その経験を活かしてほしいと、即戦力として求めている現場が多く、求人がなくなることはないでしょう。
将来的にキャリアアップを目指したい、また、現場では自分で判断しながら働きたい、という方は働きながら看護師を目指すことも可能です。准看護師としてのキャリアがあるのでその分、勉強や実習がスッと入ってきやすく、看護師としてのスキルを習得していけるでしょう。
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参考: e-Gov法令検索 保健師助産師看護師法
日本准看護師連絡協議会 公式サイト
日本看護協会 准看護師制度について